30年前の雑誌
30年という時間の長さを、実感として掴む機会は、なかなかありません。1年前くらいまでなら記憶を辿って、あの頃は、とリアルに思い出せます。けれど30年となると、その感覚が届きません。ただ、その30年が、思いがけず身近に感じられることがありました。最近、30年前の雑誌、学生の頃に買った一冊を、買い直しました。
1996年に販売された「芸術新潮」という雑誌です。芸術新潮は、1950年に創刊された日本の雑誌で、海外の美術動向紹介や美術評論で主に構成されています。2026年でも日本では発刊され続けている歴史ある雑誌です。当時のものは本棚に残っていませんでしたが、なぜか急に読み直したくなったのです。特集は、アンディ・ウォーホルを中心としたポップ・アート。関連する他のアーティストも同時に紹介されています。
30年前というと自分が20歳の時に発売されたものです。当時、この雑誌を本屋で偶然見つけ、表紙のキャンベルスープの作品を初めて目にして、惹かれて買いました。アートというものに大きな縁がなかった学生時代に、こういうのも表現の世界にあるんだと惹きつけられた感覚を今でも覚えています。
昔の雑誌に、再度興味を持つということは、おそらく当時の自分が感じたことと、今の自分が感じることの、比較をしたいのかもしれません。30年間の、自分の視点や感覚の変化を測る基準として、当時の雑誌が必要なのです。
誌面の内容は変わっていません。同じ表紙のスープ缶、同じ記事、同じ図版。変わったのは、それを読む自分だけです。同じものを前にして、20歳の自分と、今の自分とでは、まるで違うことを感じるはずです。昔の雑誌は、鏡のように、自分がどれだけ変わったかを映し出すはずです。
20歳のとき、何も知らずにただ惹かれた、あの感覚。今の自分が同じページを開いて、あのときと同じように心が動くのか。それとも、まったく違う何かを感じるのか。鏡は、ただ、今の自分を映すだけです。
昨日の夕方届き、今日、読む予定です。何が映るのか楽しみでもあります。